縫製工場へ




昨日はunefig.のシルク製品でお世話になっている縫製工場さんを訪ねました。
もの作りにかける情熱や積み重ねてこられた仕事のお話を聞くのは本当に楽しく、いつも感動します。
アナログなだけです、と謙遜されますが、現在でも生地の裁断は鋏だけで行っていると聞き、パタンナーさんと一緒に、えーーー!!とびっくり。
シルクのような滑りやすい生地を何枚も重ねて切るなんて、はたまた、依頼によってはぶ厚いフェルトのような生地もある。
腱鞘炎にはならないのでしょうか、という素朴な疑問に、もちろん何時間もその作業ばかりだときついけれど、人並み外れて握力があるようです、とにこやかにおっしゃる。
私よりずっと長くアパレルの世界にいるパタンナーさんがこんなにびっくりするのだから、これはただ事じゃないとまた感心。
中にはmで何万円もする生地を扱うこともあるそうで、そんな時はさすがに緊張するとおっしゃっていましたが、でもそのお顔は経験に裏打ちされた自信で溢れていました。
鋏の長さも一番使いやすいものが決まっていて、何本も持っているものを研ぎながら大切に使っていらっしゃるそう。
パターンを見れば、どういうものを作りたいのかすぐにわかるという、この言葉は工芸の職人さんが図面を見れば依頼主が何を求めていて、そのためにはどのような方法が最適かをパッと判断出来るとおっしゃるのとよく似ていてると思いました。
熟練の職人さんは、分野が違っても、その勘どころのようなものが共通するのだということは興味深い発見でした。
依頼主の希望を形にするために、常に先を読み、ただ指示通りではうまくいかないと判断すれば、よりよいやり方を提案する。
ただ指示通りにやり、問題が発生しても、そう指示したのはそちらですからこちらに責任はありません、というような仕事の仕方とは真逆の、目を通すということを徹底していらっしゃる姿勢に、仕事への矜持を強く感じました。
このような職人さんと共にもの作りが出来ること、本当に有難いなぁとしみじみ思いました。
コロナの影響もあり、海外の縫製工場から国内へ戻ってくるブランドが増え、問い合わせがかなり増えているとのこと。
一時の自分の都合ではなく、このような一朝一夕では身につかない技術や知恵を持っている作り手の方たちに末長く仕事をお願い出来るよう、人を大切にして、尊敬を持って接する、そういう仕事の仕方をしてほしいと心から思います。


2022.6.4